fc2ブログ

プロフィール

カジヤ

Author:カジヤ
ご先祖様を調べています。
調査方法、失敗、発見、トラブルなどを紹介していきます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
カレンダー
08 | 2012/09 | 10
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -
FC2ブログランキング
なんかアクセスアップに役立つ らしいよ

FC2Blog Ranking

月山富田城のお殿様 塩冶掃部介にまつわる話3

つづき。


左門は宗右衛門が料理に手をつけないことを不思議に思いました。

そしてそのことを問うと

宗右衛門は初めて口を開きました。


「お前の心のこもったもてなしを断る理由がどこにあろうか。

 正直に話そう。

 今の私には目の前の御馳走を口にしたくても、それは叶わぬのだ。
 
 私はこの世のものではない・・・。」


「!?・・・兄上・・・?どういうことでしょう。

 よく・・・わかりかねますが・・・。」


宗右衛門は旅立ったあの日から何があったのか

左門に話し始めました。



宗右衛門が故郷の出雲国にたどり着くと

そこには宗右衛門の知る故郷ではなくなっていました。


かつて 塩冶掃部介(えんやかもんのすけ)に

仕えていた者は、その多くが

尼子経久(あまごつねひさ)に従っていたのです。


宗右衛門は従兄の赤穴丹治(あかあなたんじ)を訪ねました。

すると、経久に従うように諭され、会うことになりました。


確かに経久は優れた武人であることが理解できました。

しかし、それゆえに疑い深い男であることもわかりました。

主君を心から信じて働く家臣もいないようです。


宗右衛門は経久に仕える気が起きませんでした。

長くとどまる理由もありません。

左門の元へ帰ることにしました。


このことを丹治に話し去ろうとしたところ

急に捕えられてしまいました。

経久が命じたのです。宗右衛門をこの城から出すな、と。



そして、動けぬままついに約束の日が来てしまいました。

逃げ出すことはできません。

このままでは約束どころか、再び会うこともできないかもしれません。


いにしえの言葉にこんなものがあります。

「人が一日に千里を進むことはできない。
 
 だが、魂は千里を一日で飛ぶことができる。」


これを思い出した宗右衛門は覚悟を決めて自刃しました。

そして、この闇夜の風に乗って約束を果たしに帰ってきたのです。


宗右衛門の長い長い話を

左門は涙を流しながら黙って聞き続けました。


話し終わると、母を大切にするように、と一言つぶやき

その姿をスーッと消したのでした。


左門は大泣きしました。

余りの声に母も目を覚まし、左門に駆け寄ります。

「どうしました?」

左門は悲しみのあまり答えることができません。


しばらくたってやっとのことでいま起きたことを

母に話しだしました。


左門の話を初めは母も疑っていたのですが

泣きながら訴えるその様子に

やがて信じ、母も泣きその夜を明かしました。




つづく。






スポンサーサイト